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2024年9月9日

アロエベラとその主要な有効成分の薬理学的特性②:「皮膚の保護」

和訳:「アロエベラとその主要な有効成分の薬理学的特性の最新情報」

(概要については、「アロエベラとその主要な有効成分の薬理学的特性①」を参照してください)

皮膚の保護

●皮膚保護に関するほとんどの試験管内研究は、アロエベラとその有効成分の傷の治りを促進する能力に焦点を当てている。永久的に増殖可能なヒト皮膚細胞のHaCaT細胞株、ヒトから直接採取した正常な皮膚細胞のHEKa細胞株、および線維芽細胞株が最もよく使用されている。これらの研究により、アロエベラとその主要成分(アロエシン、アロイン、エモジン)が、主に抗酸化作用と抗炎症作用を通じて保護効果を発揮することが明らかになっている。アロエベラは線維芽細胞におけるTFGβ1、bFGF、Vegf-Aという物質の生成を増加させ、リソソーム膜(細胞内の小器官の膜)を安定させることで皮膚細胞の増殖と分化を促進した。さらに、薄めたアロエベラ溶液(175 μg/mL以下)は、角膜上皮細胞(目の表面の細胞)の培養モデルにおいて、IV型コラーゲン分解を促進することで、角膜の傷の治りを早めることができた。さらにアロインは、炎症を引き起こすIL-8の産生、DNA損傷、脂質の酸化、およびROS(有害な活性酸素種)の生成を減少させ、抗酸化物質であるGSHの含有量と抗酸化酵素であるSODの活性を増加させることで皮膚保護作用を発揮した。アロエシンは、Cdc42(細胞の形態や運動に関与するタンパク質)とRak1のリン酸化、免疫反応を調節するサイトカイン、および細胞の成長を促進する成長因子を介して細胞の移動を促進させ、創傷治癒を促進することが分かった。この治癒活性に加えて、アロエ多糖体(20、40、80 µg/mL、および24時間処理)は、乾癬に有益である可能性が示されている。これは、ヒト由来の皮膚細胞であるケラチノサイトHaCaT細胞株におけるTNF-αレベルの抑制、IL-8およびIL-12タンパク質発現の抑制によって実証されている。

(これらの研究から、アロエベラは、抗酸化作用と抗炎症作用を通じて皮膚を保護し、細胞の増殖と分化を促進する。また、傷の治癒を加速させ、DNA損傷を軽減し、乾癬などの皮膚疾患にも効果がある可能性が示されている)

●生体内研究に関しては、最も一般的なモデルは、遺伝子組み換え動物(BALB/cマウス、HR-1無毛マウス、SKH-1無毛マウス)や、動物の紫外線およびX線による皮膚損傷である。これらの生体内研究の大部分は、アロエベラエキスやジェルを用いて行われている。動物モデルにおいて、局所的にアロエベラを塗布すると、炎症を引き起こす細胞の侵入の減少、CD4+/CD8+比率のリンパ球の増加、表皮の厚さとコラーゲン沈着が改善され、皮膚切開の傷の治りが促進された。インドネシアで行われた複数の薬用植物を用いた別の研究では、糖尿病性潰瘍の治療におけるニゲラサチバ油ジェルとアロエベラジェルの効果が調査された。アロエベラは、アロキサンという物質で糖尿病を引き起こしたウィスターラットの背中にある傷の治りを改善するのに、より効果的であることが示された。これは、死んだ組織と炎症の減少、および皮膚表面の再生の改善によって実証されている。さらに、紫外線を当てたマウスモデルでは、アロエベラジェルパウダーが上皮成長因子とヒアルロン酸を作る酵素を増加させ、組織を分解する酵素マトリックスメタロプロテアーゼ(タイプ2、9、13)の発現を減少させることが明らかになった。アロエステロールがこの紫外線の防止に関与している。同様に、アロエベラが抗酸化作用(抗酸化酵素の活性とGSHという物質の含有量の増加、有害な活性酸素の産生と脂質の酸化の減少)を通じて、X線照射から保護することが観察されている。アロエベラから取り出された成分のうち、アロエエモジンとアロエシンについて研究が行われた結果、これらの物質が傷を治す効果を持つことが分かった。さらに、その効果は主に新しい血管を作り出す特性(血管新生)によるものだということが明らかになった。

(これらの研究から、アロエベラが皮膚の治癒を促進すること、紫外線やX線による損傷から皮膚を保護し、糖尿病性潰瘍の治療にも効果があること、血管新生を促進し創傷治癒を加速させる可能性があることが示唆されている)

●過去6年間に、いくつかの臨床試験が実施されている。その中には、アロエベラの潰瘍に対する有効性を評価することを目的としたものがある。アロエベラジェルを1日2回、3ヶ月間投与することで、傷の治りが改善および促進され、入院期間も短縮されている。さらに、整形外科病棟に入院した80人の患者を対象とした無作為の三重盲検臨床試験で、Hekmatpouらは、アロエベラジェルを10日間、1日2回使用することで、腰、仙骨、踵の部位の床ずれ発生を予防できることを実証している。その他の臨床試験では、アロエベラが火傷の皮膚表面の再生と肉芽(新しい組織)の形成を促進し、帝王切開の傷の治りを促進し、皮膚の一部を移植したドナー部位の傷の治りを加速することが示されている。また、健康な皮膚を維持することに関して、アロエベラの効果を調査する無作為の二重盲検プラセボ対照試験も行われた。アロエステロール(シクロアルテノールとロフェノール)40 µgを少なくとも12週間毎日経口摂取することで、以下の効果が確認されている:
・日光にさらされるが日焼け止めを使用していない46歳未満の男性の皮膚の弾力性が改善
・40歳以上の日本人女性の顔のしわが減少(ヒアルロン酸とコラーゲンの生成促進による)
・30〜59歳の女性の総弾力性、純弾力性、生物学的弾力性が向上
しかし、アロエベラの皮膚保護効果に関する臨床的証拠がある一方で、特に放射線による皮膚障害の軽減において、この薬用植物の有効性が見出されていない臨床試験もある。2014年から2019年の間に、この効果に関する2つの臨床試験が発表されている。どちらの研究でも、アロエベラをジェルやクリームとして患部に直接塗布しても、乳がん患者の放射線療法による皮膚炎や皮膚への悪影響の発生率や重症度が対照群と比較して減少しないことが判明している。

Pharmacological Update Properties of Aloe Vera and its Major Active Constituents / Marta Sánchez, Elena González-Burgos, Irene Iglesias, and M. Pilar Gómez-Serranillos / International Journal of Pharmacy & Integrated Health Sciences, 2020 Mar; 25(6): 1324

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