2024年12月6日
日中に眠くなる?それ血糖値スパイクのせいかも
お昼ご飯を食べてしばらくしたあと、強烈な眠気に襲われることがよくありませんか?それは、「血糖値スパイク」のせいかもしれません。血糖値と疲労の関係について、最新の情報を交えて解説します。
血糖値って何?
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことを指します。私たちが食事をすると、食べ物に含まれる炭水化物が消化され、ブドウ糖として血液中に吸収されます。この血液中のブドウ糖の濃度が血糖値として測定されます。通常、健康な人の空腹時血糖値は70〜100mg/dLの範囲内に収まります。しかし、食事の内容や摂取タイミングによって、この値は大きく変動することがあります。血糖値が必要以上に低くなると低血糖、高くなると高血糖と呼ばれ、それぞれ健康上のリスクがあります。たとえば、慢性的に血糖値が高い状態が続くと、糖尿病のリスクが高まります。
疲労の原因「血糖値スパイク」
「血糖値スパイク」という言葉を聞いたことがありますか?血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急激に上昇し(140mg/dL以上)、その後急激に低下する現象を指します。「スパイク」は英語で「棘」や「鋭い突起」を意味し、血糖値の急激な上昇と下降を視覚的に表現しています。この現象は、特に糖質を多く含む食事を摂取した後に起こりやすく、体が以下のような反応をします。
・急激な血糖上昇
・インスリンの大量分泌
・血糖値の急激な低下
・眠気やだるさの発生
この一連の流れが、いわゆる「糖質疲労」と呼ばれるものです。日中、特に食後の眠気や集中力の低下は、多くの場合この現象が原因となっています。
血糖値スパイクと糖尿病
血糖値スパイクは単なる一時的な疲労だけでなく、体に長期的な影響も与えます。その代表的なものが、糖尿病です。糖尿病には1型と2型がありますが、特に血糖値スパイクは2型糖尿病に深く関連しています。2型糖尿病は、体がインスリンをうまく利用できなくなる、いわゆる「インスリン抵抗性」が原因で発症します。血糖値スパイクが頻繁に起こると、体はインスリンを過剰に分泌し続けることになりますが、この状態が続くと細胞がインスリンに対して鈍感になり、インスリン抵抗性が生まれます。その結果、血糖値をうまく下げられなくなり、慢性的に血糖値が高い状態が続くことになります。これが2型糖尿病の発症につながるのです。
その他の健康リスク
血糖値スパイクは、糖尿病のほかに、以下のような健康リスクも伴います
●動脈硬化: 血糖値の急激な上昇は血管を傷つけ、動脈硬化のリスクを高めます。
●認知症:過剰なインスリン分泌は認知機能に悪影響を及ぼす可能性があります。
●がん:インスリンの過剰分泌はがんのリスクを高める可能性があります。
血糖値スパイクを起こさないために
まず一つ目の方法は、「低GI食品を選ぶこと」です。GIとはグリセミックインデックスの略で、食品がどれだけ血糖値を上げるかを示す指標です。低GI食品は、血糖値を緩やかに上げるため、スパイクを防ぐ効果があります。例えば、玄米、全粒粉パン、野菜、果物(特にベリー類)などが低GI食品に該当します。
次に、「食物繊維を多く含む食品を摂ること」も効果的です。食物繊維は、糖の吸収を遅らせる働きがあり、血糖値の急激な上昇を防ぎます。野菜、豆類、ナッツ、全粒穀物などを意識的に取り入れると良いでしょう。また、食事の際にまず野菜から食べる「ベジファースト」も、血糖値スパイクを抑える方法の一つです。
さらに、「食事の回数を分ける」ことも有効です。1回の食事で大量に食べると血糖値が急激に上がりやすくなるため、1日に3回の食事に加えて、軽い間食を取り入れることで、血糖値の変動を抑えることができます。ただし、間食も健康的なものを選ぶように心がけましょう。
最後に、「運動を取り入れること」も血糖値スパイクの防止に役立ちます。食後に軽く体を動かすことで、血中の糖分がエネルギーとして消費され、血糖値の上昇を抑えることができます。例えば、食後に15分程度の散歩をするだけでも効果があります。
アロエベラを取り入れよう
アロエベラは、その健康効果で知られる植物で、特に血糖値の調整に役立つ成分を含んでいます。最近の研究では、アロエベラの抽出物がインスリン感受性を改善し、血糖値の安定に寄与する可能性があることが示されています。また、アロエベラには抗酸化物質も豊富に含まれており、細胞の酸化ストレスを軽減することで、疲労感の軽減にも効果的です。
Aloe vera in diabetic dyslipidemia: Improving blood glucose and lipoprotein levels in pre-clinical and clinical studies / Neha Deora , Krishnan Venkatraman / National Library of Medicine PMCID: PMC9732414 PMID: 36481618
※アロエベラの効果に関しては、さらなる研究が必要とされています。また、医療目的での使用は必ず医師の指導のもとで行ってください。
最新の研究と展望
最新の研究では、個人の遺伝子型や腸内細菌叢が血糖値の変動に大きく影響することが明らかになってきています。これにより、個人に最適化された食事プランや生活習慣の提案が可能になると期待されています。また、連続血糖モニタリング(CGM)技術の進歩により、リアルタイムで血糖値の変動を追跡することが可能になりました。これにより、個人がより詳細に自身の血糖値の変動を把握し、適切な対策を取ることができるようになっています。
まとめ
血糖値スパイクは、私たちの健康に大きな影響を与えるものですが、食生活や生活習慣を少し変えるだけで、そのリスクを大幅に減らすことが可能です。自分の体のために、毎日の食事や運動に少し気をつけてみましょう。それが、血糖値を安定させ、疲れにくい体を作り、活力ある生活を送るために重要です。