2024年12月2日
試験管内における植物性多糖類(アロエベラ、シイタケ、霊芝、カワラタケ)の化学予防効果
和訳:「試験管内における植物性多糖類(アロエベラ、シイタケ、霊芝、カワラタケ)の化学予防効果」
概要:
試験管内実験および生体内実験において、植物性多糖類であるアロエジェルの抽出物が、ベンゾ[a]ピレン-DNA付加物の形成を、試験管内および生体内で抑制することが報告された。
*ベンゾ[a]ピレン: 発がん性のある多環芳香族炭化水素【以下、B[a]Pと表記】
*DNA付加物: DNAに他の物質が結合した化合物
そこで、植物多糖類【以下、アロエベラ(APS)、シイタケ(LPS)、霊芝(GPS)、カワラタケ(CPS)】の発がん予防効果を、発がんの開始と促進過程の両方に関連する、試験管内短期スクリーニング法を用いて比較した。
B[a]P-DNA付加物の形成において、マウス肝細胞におけるB[a]PのDNAへの結合の抑制には、APS(180μg/ml)が最も効果的であった。酸化性DNA損傷(8-ヒドロキシデオキシグアノシンによる)については、APS(180μg/ml)とCPS(180μg/ml)によって有意に減少することが示された。
グルタチオンS-トランスフェラーゼ活性の誘導では、GPSが植物多糖類の中で最も効果的であることがわかった。抗腫瘍促進効果のスクリーニングでは、APS(180μg/ml)がBalb/3T3細胞におけるホルボールミリステートアセテート(PMA)誘導性オルニチンデカルボキシラーゼ活性を有意に阻害した。さらに、APSはヒト白血病細胞におけるPMA誘導性チロシンキナーゼ活性を有意に阻害した。APSとCPSは、スーパーオキシドアニオンの形成を有意に阻害した。
*グルタチオンS-トランスフェラーゼ: 体内の解毒に関わる酵素
*オルニチンデカルボキシラーゼ: 細胞の増殖に関わる酵素
*チロシンキナーゼ: 細胞の増殖や分化に関わる酵素
*スーパーオキシドアニオン: 活性酸素の一種で、細胞を傷つける作用がある
これらの結果から、試験管内モデルにおいて、いくつかの植物多糖類が遺伝毒性および腫瘍促進活性の両方を抑制することを示唆しており、したがって、がんの化学予防のための潜在的な薬剤として考えられる可能性を示している。