2025年8月26日
治療薬としてのアロエベラ多糖類:生物医学的応用における有用性と副作用③:「抗菌作用」

和訳:「アロエベラとその主要な有効成分の薬理学的特性の最新情報」
(概要については、「治療薬としてのアロエベラ多糖類:生物医学的応用における有用性と副作用①:「免疫調節作用」を参照してください)
アロエベラ多糖類の抗菌作用
アロエベラの多糖類には、強い抗菌作用があることが知られている。これは、細菌やウイルス、真菌(カビなど)の細胞膜を壊してしまう働きによるもので、その結果、中の成分が漏れ出して最終的に死滅する仕組みである 。たとえば、アセマンナンという成分は、グラム陰性菌の外側にある膜成分(リポ多糖:LPS)に作用して、膜を不安定にし、通りやすくしてしまうため、菌にダメージを与える 。
直接的な抗菌作用に加え、アロエベラの多糖類は体の免疫力も高める。皮膚や腸などの上皮細胞に働きかけて「ディフェンシン」と呼ばれる抗菌ペプチドを作らせることで、外からの病原体を防ぐ“第一の防御ライン”を強化するのである 。
また、抗ウイルス作用もあり、ウイルスが体の細胞に入り込んだり増えたりするのを邪魔する。例えば、アセマンナンはヘルペスウイルス(HSV)が細胞の表面にくっつくのを防ぐことが知られている 。
研究では、アロエベラの成分が黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)や大腸菌(Escherichia coli)、そして複数のカビ類の増殖を抑えることが確認されている 。こうした抗菌力は、傷口の感染を防ぐのに役立つだけでなく、腸内の細菌バランスを整えて健康維持にもつながる 。
さらに、アロエベラに含まれるp-クマル酸やビタミンC(アスコルビン酸)といった成分が加わることで、抗菌効果はいっそう強められる 。
Aloe Vera Polysaccharides as Therapeutic Agents: Benefits Versus Side Effects in Biomedical Applications / by Consuela Elena Matei, Anita Ioana Visan and Rodica Cristescu / National Institute for Laser, Plasma and Radiation Physics, Ilfov, Romania / MDPI, Polysaccharides 2025, 6(2), 36; https://doi.org/10.3390/polysaccharides6020036, Published: 4 May 2025