2024年8月2日
色素沈着改善に期待されるアロエベラの成分は
美肌を追求する人にとって、シミやくすみなどといった皮膚の色素沈着は、いつでも悩みのタネです。アロエベラには、色素沈着を改善するのに有効な成分が含まれているのでしょうか?それらはどのような働きが期待されるのでしょうか?
色素沈着のメカニズム
色素沈着は、皮膚のメラノサイトと呼ばれる細胞で生成される色素であるメラニンによって引き起こされます。メラニンの生成過程はメラノジェネシスと呼ばれ、以下の主要なステップで構成されます。
①メラノサイトの活性化
メラノサイトは表皮の基底層に存在し、メラニンを生成します。紫外線(UV)や炎症反応などの刺激によってメラノサイトが活性化されると、メラニン生成が促進されます。
②チロシナーゼの活性化
メラニン生成の鍵となる酵素はチロシナーゼです。チロシナーゼはチロシンというアミノ酸を酸化してドーパキノンに変換し、これがさらに化学反応を経てメラニンに変わります。チロシナーゼの活性化が、メラニン生成の速度と量を直接左右します。
③メラノソームの形成と移動
メラノサイト内で生成されたメラニンはメラノソームと呼ばれる顆粒に入ります。メラノソームはメラニンを含む小さな袋で、これがケラチノサイト(皮膚の主要細胞)に移動し、皮膚に色を与えます。。
④メラノサイトの増殖
一部の色素沈着障害では、メラノサイト自体の数が増加することがあります。例えば、メラズマではメラノサイトの増殖が見られることがあり、これが過剰なメラニン生成の原因となります 。
注目される成分アロエシン
アロエベラは古くから火傷や切り傷、虫刺され、湿疹などの皮膚損傷の治療に使われてきました。その抗炎症作用、抗菌作用、そして傷の治癒を促進する特性が広く知られています。アロエベラに含まれる成分の中でも、特に注目されているのがアロエシンです。アロエシンは、アロエベラ植物から抽出される成分で、メラニン生成を抑制する効果があることが示されています。in vitro(試験管内)研究によれば、アロエシンはチロシナーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、ドーパオキシダーゼを抑制することが確認されています。これにより、メラニン含有量とチロシナーゼ活性が用量依存的に減少することが示されています(※)。
(※)
Effects of aloesin on melanogenesis in pigmented skin equivalents/Z Wang 1, X Li, Z Yang, X He, J Tu, T Zhang/National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18377621/
臨床研究の現状と課題
アロエベラを含め、いくつかの天然成分による色素沈着治療は、いくつかの臨床試験を通して期待されると報告されていますが、結果は必ずしも一致しておらず、臨床研究の不足と試験期間の短さが課題として残っています。将来的にはヒトを対象とした大規模な臨床試験が望まれます。アロエベラはその豊富な栄養成分と多様な薬理作用により、今後も皮膚の健康維持や治療において重要な役割を果たすことが期待されます。
注意: 本記事は、一般的な情報提供を目的としたものであり、医療アドバイスではありません。色素沈着でお悩みの方は、必ず皮膚科医にご相談ください。